ドクター達のさりげない配慮で掛けられた梯子をのぼり、開閉スイッチを押すとハッチがゆっくりと開いた。

華は両ふちに手をかけてつま先から中へ滑り込んだ。

つま先は下まで届かずブラブラしている。

股関の下に低反発クッションのような物があり、それに跨っているだけなのでかなり不安定だ。

モビルブーツの広がった胸の部分、乗り込んだ華の目前にはタッチパネルやスイッチ類、ドリンクホルダーなどがあっていかにも操縦席な感じだ。

聞いていた通りにメインスイッチを入れると、各所にライトがつき機体が目を覚ましてゆく。

さらに起動スイッチを入れると『パシュッ』というエアー音とともに足全体に何かが貼り付き下半身の不安定さが無くなった。

右足を少し前へずらすと、同時に機体も右足を出す。

華の足の裏には地面の感触まで作り出されているようだ。

満面の笑みでハッチを閉めると、笑顔のまま叫んだ。

「華、モビルブーツ、行きまーす!」