ドクターが出したアイデアは万雷の拍手で称えられはしなかったが、否定される事もなく受け入れられて製作が始まった。

そして1ヶ月後遂に試作機が完成したのだった。

「完成おめでとうございますドクター」

「ありがとうヒロシ君」

二人とも、珍しくやり遂げた漢の顔でガッシリ握手を交わす。

「これならきっと華さんも満足してくれますね」

嬉しそうに言うヒロシにドクターは得意げに鼻で笑った。

「フッ、小さいぞ青年…我々が満足させるのは…


ワールドさ!!」

だが会話しながら二人は別の事を考えていた。

(そろそろ華が試運転するためにこれを奪いにくるはずだ)

(眠らされる時に痛くされたらイヤだな)

そしてそれは…

いつの間にか部屋に充満した催眠ガスによって眠らされる直前の、夢の入り口の朦朧とした意識のことだった。