「ええっ、ここまで聞いただけでも結構あるのにこれ以上ですか?」

ヒロシが庭から帰還しながら驚いた。

額から血を流している事に気づかず、平然と土を払っている。

「そうよ…、帰りにね……ガムを踏んだの!」

沈黙が室内を支配した。

華は出生の秘密を告白したような表情だが、男性陣は唖然としている。

頭上には「?」マークが多数浮かんでいた。

「分からない?ガムを踏むでしょ、ゴミやカスがくっつくでしょ、するとローラーに噛んで完全にロックされてしまうのよ!

その上、細かすぎて取り外せないの!」

「それで!?」

「仕方ないから歩いてきたわよ。
あんな重いブーツで足首固定で…どんな修行よ」

(ケータイで助けを呼ぶか、脱いで歩けば良かったのに…)

ドクターは思ったが口には出さない。言えばヒロシの二の舞である。

「オーケイ、了解だ。試作機の問題点は概ね浮かんだようだね。

明日から、それらを踏まえて二号機の製作に取り掛かろう!」

「了解!」