まだ湿っぽい空気のせいで、髪の毛のクセを気にしてた6月。

「あのさぁ……直輝くん、彼女できたらしいよ」

とっても言いにくそうに、那智が言った。

あぁ~~~~~……。

半年間育ててきた、私の淡い恋心。

見事に玉砕しちゃったよ……。

中2の失恋……。

「えっ……マジかぁ~……」

私は力なく、グダっと机に突っ伏した。

すぐ左の窓から見える、雨の降りそうな曇り空。

泣きたいのは私の方だって。

「でも、凜と直輝くん、けっこうイイ感じだったのにね~……。ウチ、絶対両思いだと思ってた!」

私だって。

私だって、そう思ってた。

誕生日には、恥ずかしそうにストラップをくれた。

放課後、2人でマックに行ったりもしたのに。

すっごく好きだった。

でも、『笑い合える友達』っていう今の関係を壊したくなくて、告白できなかった。