そんなコトは気にも留めず、伊織はいそいそと俺が寝るベッドに這い上がってくる。


「……マジかよ」

「マジです!わたしはいつでも本気です!!」

「……そォかよ。それはよかったな」


コイツ、たぶんもう何を言っても聞かないだろう。

俺が諦め、伊織が入れるくらいの間を空ける。

パァッと、伊織の表情が光を放つ。


「いいんですかぁ!!?」


いいもなにも、聞かないだろ、お前は。


「……勝手にして」


呟き、俺は目を閉じる。

スプリングが軋み、伊織がベッドに寝転がったのを知らせる。


「あれぇ、先パイ、寝ちゃうんですかぁ?」


すぐ傍で、伊織の声が聞こえる。

何も答えない俺に、伊織が『エヘへ』と笑う。


「わたしも眠いですぅ。お弁当美味しかったですからぁ。お腹一杯なんですよぉ」


言った後、伊織の暢気な欠伸が聞こえ、しばらくしてから何も聞こえなくなった。

同時に、俺も夢の世界へと落ちていった。