本日の診察は3回目。

前回の結果も変化がなく、薬だけ処方されて、今日は3回目の診察。



「木下さーん」


聴力検査をしてから先生に呼ばれる。


「これ見て」


小さな白いグラフ用紙。


「ちょっと変化があるのわかるかな?」


―――― え?

“変化”ですって?


「少しだけ上がったよ“――― 聴力”」


「…… ウソ」


小さな白いグラフ用紙。

それはあたしの今日の検査結果。


はっきり言って、あたしにはどこがどう変わったのか分からない。


左右で差があるのは確かだし、第二関節くらい離れているって言うのに。


「上がっているんですか?」


先生の言ったことが信じられない。


「分かりずらいけど、上がっているよ。 薬の効果が出てきたみたいだ」