「突発性難聴……」
あたしは先生が言った言葉を繰り返すしか出来なかった。
そして、ゆっくり目から熱いものが込み上げてくる。
でも…… こんな所で涙なんか流したくないから、下唇を強く噛みしめグッと堪えた。
先生はそんなあたしに気付き、あたしに分かりやすく“突発性難聴”について教えてくれた。
「そう、木下さんも聞いたことがあるはずだと思うけどわかる? 突然耳が聞こえなくなるんだ。 全く聞こえなくなる人もいれば木下さんのように少し聞こえが悪くなったりする人もいる病気なんだよ」
「あゆと同じって事ですか?」
「まぁそうだね。 でも木下さんはまだ治る余地があるから」
まさか自分が“難聴”だなんて……。
あたしの小さな希望は消えてしまった。
これから先あたし…… どうなっちゃうの?
学校は?
日常生活は?
前みたいに普通に生活できる?



