ここからはあたし1人。

大きな不安と小さな希望が胸の中で行き交っているけど……。


「こちらへどうぞ」


逃げ出すことは出来ない。


「音が聞こえたら返事してくださいね」


「…… はい」


耳にヘッドホンを当て、検査開始。


「まず右耳から検査しますね」


「はーい」


って…… ど、どこを見ていればいいの!


あたしが通された部屋は狭く、ちょっとひんやりして窓1つない所。

そして、結構重そうな厚いドアを閉めたら一気に外の音が聞こえなくなった。

目の前には真っ白な壁と、電源が入っていないワケの分からない機械だけ。


「では始めます。 緊張せずにリラックスしてくださいね」


いやいや、緊張しますって。


こっちは手に汗掻いちゃいましたよ。