おじさんかー……。

若くて女の先生の方が話しやすくてラクだけど、あたしの目の前にはメガネをかけたおじさんが1人。


「今日は、えーっと……。

耳鳴りに、耳の詰まりに…… 音の聞こえだね」


あたしの右後ろにはママが荷物を持って診察の様子を伺っている。


「音の聞こえはいつから悪いと感じた?」


「2月の半ばくらいからです」


「耳鳴りや耳の詰まりは?」


「だいたい……同じような位だったと思います」


「1ヶ月前かー。

うーん…… その頃に何かあった? 例えば…… ストレスをいつも以上に感じたりとか」


「特にはないです」


ゆっくりとした口調で話しかけてくれて、優しそうな先生で良かった。


患者の話しもよく聞いてくれそうでホッとした。


「一応“聴力検査”やっておくか。

聴検よろしく」


やっぱりあったか、聴力検査。

でも、これをやれば全てが分かる。


「ではまおちゃんはこちらへ。
お母さんは廊下のイスに掛けてお待ちください。 10分程度で済みますから」