でも…… そんな甘い蜜のトラップに誘われて飛んでいくマヌケナな蜂じゃない。


「ヤダッ」


「まおー」


分かっているよ、わかってる……。 今の自分の体がどれ程悪いか。


早く診察してもらわなきゃいけないことだって――― 自分の体は自分が1番分かっている。


「まおー」


「…… わかった」


もう、いい加減に覚悟を決めなくちゃいけないんだ。

いつまでもこの“現実”から逃げているわけにはいけない……。


重い腰を持ち上げ立ち上がった。


「パンとアイス“絶対”だからね?」


ママのその甘いトラップに引っ掛かるよ。

そうすれはあたしの未来が分かるんでしょ?


「…… 行こ?」


もう…… 逃げないから。


絶対あたしは“突発性難聴”では無い―――。


小さな希望(のぞみ)を胸に秘め……。

いざっ、出陣。