突発性難聴―――。
忘れもしない、この病名。
まさか、自分にこの病名が降りかかってきているだなんて――― 思いもしなかった。
「なんで“難聴”なんか調べるの?」
“その”病気の症状が、少しだけ分かるだけに――― あたしの胸は、大きく波打つ。
「ほら、テレビで“難聴で耳が聞こえなくなった”って、言っていたでしょ?」
「あたし聞こえない訳じゃないよ? 難聴なんかじゃ、ないから」
あたしは耳はきこえるんだ。
耳鳴り、めまい、耳の詰まり……。
“難聴”って聞こえなくなるんじゃないの?
「調べてみるだけ調べてみたら? 調べてみて、違ったらいいでしょ?」
…… 何? ママはあたしは“難聴”だって疑っているの?
そんな事、あるわけないじゃん。
「じゃあご飯食べ終わったら一応、調べてみる」
「後でどうだったか教えてね」
まぁ、調べるくらいいいか。
どうせ難聴なんかではない。
今はちょっと具合悪だけだもん。