ママとパパには、何度か音の聞こえや耳鳴りについて相談していた。
“耳の詰まった感じ”
“耳鳴り”
“時々おこるめまい”
“声の聞き取り”
2人とも初めはただの風邪だと思ったらしいけど…… 何度も2人に相談していくうちに、ママたちがあたしの体の異変に気付いた。
だって。今はもう3月。 あたしが風邪を引いたのは2月半ばだった。
1ヶ月、風邪に似た症状が無く、ただ耳の異変だけがあるなて――― おかしすぎる。
それに、たまにだけど…… ママ達の声に反応しない時があったんだ。
それに薄々は自分だって耳の異変には――― 気が付いていた。
授業中、黒板の前で話している先生の声が聞こえなくてただノートをとっていたあの日々。
電車のブレーキ音で耳が痛くなること。
階段を降りるとき、めまいがして何度か落ちそうになったこと。
全部、全部――― あたしは気が付いていた。
でも、この異変を認めたく無かった。
だって、認めてしまったらきっと、あたしは……。
―――――弱くなる。