「出来ないだろ? ……… キスなんて」


「で、出来るもん」


いっくんが目を大きく見開いた。


「………」


あたしだってキスの一つくらい出来るんだからっ。 いっくんがやりたいなら、どーんっとこいっ!


「まおっ、本気か?」


「本気だよ!」



あたしが『キス出来る』って言ったからって、そんな驚かないでよ。


なんだか心外だな……


「いつでもこいっ!」


ちょっと挑発的?
でもこれくらい言わなきゃいっくんはキスなんてしてこないかも。


あたしは大丈夫……
ちゃんと、いっくんが好き…… なんだから。


この気持ちに迷いは無いよ。


キスでそれが証明できるなら…… いっくんにあたしのファースト・キスをあげたっていいくらい。


いっくんの方を向いて、キュッと強くまぶたを閉じた。