ムカつく、ムカつく、ムカつく!


「もう、先行くからッ!」


「あっ、待て、まお!」


『待て』って言われて待つバカはいない。


カバンを強く握りしめて、地面を強く蹴り上げた。


いっくんの顔なんて見たくない。
声も聞きたくない!



「まお?」


「まおちゃん?」


数メートル先を歩いていた優ちゃんと陽太くんを追い抜いて、あたしは真っ直ぐ学校に走った。


あの言葉は嫌じゃなかった……


ただ…… あんな事を言われた事が無かったから、あの時は。


――― 驚いただけ。


でも、嫌だなんては思わなかったんだよ?



「ふぅ~」


「まーおちゃん、おはよ」


「リカちゃん、おはよ」


今日もリカちゃんは早いな。

あたしも走って学校に来たからいつもより少し早く学校に来れたけど……



「疲れたー」


「走ってきたの? 優や桐谷くんと前田くんはどうしたの? いつも一緒だったでしょ」