音のない世界 ~もう戻らないこの瞬間~

あたしもいっくんの前では……


チラッと右側に立ついっくんを見上げた。



「ん、どうした?」


「な、なんでもないっ」


目があっちゃった!!
どーしてあたしの方を見ているの? てっきり前を見ていると思ったのに……


「俺らも学校行くか?」


「うん、行く……」


いたまでもこんな道端で止まっていたって無意味。


本当だったらあたしの隣は優ちゃんが歩くのに…… 今はいっくんで我慢しよ。




「………」


「………」


気まずいな…… いっくん、何か話してくれないかな?


前を歩く優ちゃんと陽太くんは何だか楽しそうだ……


あっ! 二人は手繋いでいる。


「ったく、なんだよあの二人は」


「ん、陽太くんを優ちゃんに取られたからってヤキモチー!」


「バーカッ、そんなんじゃねーよ。
……… 見せつけやがって」


「何を?」