音のない世界 ~もう戻らないこの瞬間~

「おめでとー! まお」


「な、優ちゃん! 重いよ、重い!」


一体どうしたの? 何がそんなに嬉しいの。


ほ、ほらっ!
あたしたちめちゃめちゃ目立っているじゃん。


回りの生徒の視線が…… 痛い。



「ちょっ、陽太くーん」


「こーらっ、愛川。 何しているんだよ? まおちゃんが困っているだろ?」


本当だよっ!
いい加減に放してよっ。


「ねえ、桐谷! 聞いて、聞いて!」


「聞いてあげるから学校に行くよ?」


………。


な、何なんだ…… 一体。


優ちゃんと陽太くんの間に流れる空気。
……… 甘いって訳じゃないけど。



「愛川って彼氏の前だと“女の子”みたいだな」


「そーだねー」


優ちゃんが、メチャクチャ可愛い!


あたしといる時は何でもできちゃうお姉ちゃん。 って感じだけど、陽太くんの前だと全然違うんだもん。


女の子ってみんな『恋』をすれば変わるの?