な、なんだ……
案外普通に話せるじゃん。


もっと…… こう……


ぎこちない感じになるかと思ったけど。
いっくんがこうやって話しかけてくれるから大丈夫だ。



「意識過剰なサンタに言っておいて。
“手袋、ありがとう”って」


「はいはい」


意識過剰なサンタはきっと。
――― いっくん。


12月24日にあたしの部屋に入ったのはいっくんだけ。
あたしが寝る前に机を見たら置いてあったんだから。


いっくんしか、いない。



「じゃ、またバス停で」


片手を制服のポケットに入れて、背中を丸めながら先頭車両に歩いて行った。


「――― お、まお!」


「ん、何?」


いっくん、寒そうだな。
手袋無いのかな?


マフラーだけじゃ、絶ッ対寒い!


風邪引いたって知らないよ?



「どうしたの? 先頭車両にでも行きたくなった?」


「えっ、何で?」