好きだなんて……


――― 知らないよ。
知りたく、無かった……


あたしたち。
毎日一緒にいて、たまにはバカなこと言ったりしてみんなで楽しんで。


ニケツして帰ったり……


もう出来ないの?



「これで、樹くんが言った意味。
……… わかるでしょ?」


『――― 手を握りたかった』


『――― 抱き締めたかった』


それは、全部。
いっくんの『好き』から来る言葉だったんだ。


楽しいときも、悲しい時も。
いっくんはいつもあたしのそばに居てくれた。



「まおちゃんと樹くんはお似合いだよ」


どこか、ウソっぽい顔をあたしに向けた。


「理央ちゃん……」


理央ちゃんが、無理している。


本当はまだ理央ちゃんは、いっくんが好きなんだ。


でも、いっくんの片想いの相手があたしだからって……


「樹くんの事、前向きに考えたら?」


「……… わかった」


前向きに考えるって。


理央ちゃんの、ため?
いっくんの、ため?
それとも……
自分のため?