「具合が悪くて寝ている時だって樹くんはまおちゃんの様子を見に、何度も部屋に顔出していたんだよ」


あたしの部屋に何度も足を運んでくれていただなんて、今知ったよ。


どうしてその時に教えてくれなかったの?


今、教えられたって。
――― 遅いよ。



「樹くんは……」


辞めてッ。


その先の言葉は聞きたくない。
耳を塞いでしまいたい。


理央ちゃんの前から逃げ出したいけど。
足が全く動かない。


動かしたくても、床と張り付いて動かせない。



「樹くんは……」


理央ちゃん、本当に辞めて。
それ以上、言わないで。


その先を聞いたら、あたしといっくんの関係が容易に想像出来てしまうから……


あたしといっくんは……



「樹くんは…… まおちゃんがずっと好きだったんだよ」


もう、幼なじみには戻れない……