音のない世界 ~もう戻らないこの瞬間~

ポロッと…… 涙が落ちた。


「おいで」


両手を広げて、理央ちゃんを招いてみた。


『スキ』って言うくらいだもん。
理央ちゃんは相当、いっくんが好きだったに違いない。


あたしから見たら、意地悪ないっくんだけど。
理央ちゃんからしたら、カッコイイ…… 王子様のように見えていたんだろうな。



「泣きたい時は、泣いていいんだよ?

……… おいで」


悲しい時は一緒に泣こ?


理央ちゃんが、笑え時が来たら。
一緒に笑おうね。


だから、今は一緒に泣こ。



イスから立ち上がった理央ちゃんがドカッと。
あたしの胸に飛び込んで来た。


理央ちゃんは、何も言わない。
でも、強く抱きついてくる。


肩まで伸びている髪にそっと指を絡めて、梳かすだけ。


「………」


抱き着く腕の強さから。
理央ちゃんが、どれ程いっくんを想っていたのか伝わる。


本当に…… スキだったんだな。