そんなこと、言われなくたって分かってるし……


あたしだって、こう見えてもちゃーんと、考えているんだから。



「だったらさ……」


「“だったら”何?」


「“医療事務”の資格でも取って働いてみたら?」


「いりょーじむ?」


知らない訳じゃない。


陽太くんのお母さんはあたしが通っているあの耳鼻科の医療事務をやっているんだもんね。


「ほら、俺の母さん医療事務だろ?」


『良かったですね』って声をかけてくれたかの人がまさか…… 陽太くんのお母さんだと知った時は驚いた。


胸元にあるネームプレートにちゃんと『桐谷』って書いてあったのに。


「医療事務だったらさ、子供や大人の人とも接する事が出来るだろ?」


そっか。


言われてみれば、そうだ。


陽太くんのお母さんのように耳鼻科で働けば耳の勉強も出来て、子供や大人に接する事が出来るかもしれない。