「あたし、体が弱いから…… 普通の女の子のように遊べるか分からないし」


耳が聞こえなくなってから、人混みがイヤで…… 長時間、その中にいる事は出来ない。


映画館でも、ヘッドホンを使いそうだからな。
それを好まない人がいるかも知れない。



「でもさー“樹くん”ならまおちゃんのそう言う弱い所をわかってくれるんじゃない?」


「そうかもね」


いっくんなら、あたしが人混みを苦手な事も分かってくれているし、ヘッドホンも気にしない。


それででも。


「いっくんと付き合う事は無いよ」


あたしといっくんは『幼なじみ』
恋人同士になったら今より近づく事は出来るけど……


壊れた時が怖い。


たまに遊んだり、勉強見てもらったり……
そう言う事が出来なくなるかもしれない。


そう考えると、あたしたちはこのままの関係が良いのかも知れない。



「樹くんとまおちゃんなら良いと思ったのに」


「いっくんにも早く可愛い彼女ができたら良いのにね」


いっくんは優しいからな。 絶対、彼女を大切にしてくれそうだ。