どっちかなんて、分からない。


ボロボロ落ちてくる涙はいっくんのお腹に大きなシミを作ってしまったけど。


いっくんは何も言わない。


あたしを引き寄せ、右手でゆっくり頭を撫でてくれるだけ。
いっくんは右利きだから大抵右手で撫でてくれるんだよね。



「泣きたい時は泣け。
俺は…… ずっとまおの味方だから」


シミを作る位、あたしは涙を我慢していたの?


泣けばみんなに迷惑掛けるって思って我慢していたけど……
返って、悪い事だったのかな?



「ずっと、側にいるから」


いっくんの優しい言葉は、スーッと体に染み込んで。
より一層、あたしの涙を誘ってくる。


いっくんは卑怯だ!
意地悪を沢山言ったかと思うと、優しくなる。


それも、あたしが一番求めている言葉をくれるんだ。



「……… いっくん」


「ん、何だ?」


「………」


ただ、名前を呼んでみただけ。


これからも、側にいて。
あたし、絶対一人でも頑張れるような女の子になるからね。