ガチャっと、ドアを開けると数時間前まで見ていた顔が一つ。



「よっ!」


何が『よっ!』よ。


あたしはキリッといっくんを睨み付けた。


「そう怖い顔すんなって。
どうせヒマだろ?
ちょっと俺に付き合えよ」


そんなの、お断りします。
ヒマかもしれないけど、外へなんか出たくない。


今は家でそっとしておいて欲しい。


「だから、イヤそうな顔するなって。
もう、行くぞ」


『行くぞ』じゃないから!


って、あたしの意見は無視?
腕を掴んでグイグイ引っ張られているんですけど。


もう、急にどうしたの。


いっくんはやる事がいつも突然なんだか。
少しは心の準備をさせてよ。



「はい、まおは後ろな」


「はいはい」


あたしがいっくんの後ろに乗るのも、もうお決まり。


大抵はゆっくり走ってくれるからオシリは痛くない。