もう、こんな所。


――― 居たくない。



カバンを持っていて良かった。


もし教室に置いてあったらあの中に入らなくてはいけなくなっていた。


自分の事をあんなにバカにされている中、入る勇気なんてあたしに無いよ。
敵陣に真っ正面から一人で戦いを挑みになんて絶対やらない。


もう、無我夢中で走った。


今はただ……
一刻め早く学校から立ち去りたい。



――― ドンッ。


「ごめんなさい」


人に当たろうが、関係ない。


階段を駆け降りげた箱にノートを入れて学校から逃げた。



『養護学校』 『障害者』


あたしだって考えたことはあったよ。
でも、その度にあたしは思っていたんだ。


――― 難聴は病気。


だから今日まで頑張ってこれたのに、回りの人からは違っていたんだね。


あたし障害者だったんだ。


もう、学校に来ちゃイケないのかな?


――― わからないよ。