音のない世界 ~もう戻らないこの瞬間~

――― 放課後。


「あたし、ノートを教室に置いてから帰るから優ちゃんは先に帰っていいよ」


「あたしも着いていくよ?」


「用事あるんでしょ?
これくらい大丈夫だから、ね」



今日の放課後は委員会があった。


委員会の内容は特に大したことじゃなかったんだけど。
これでもあたしと優ちゃんは『図書委員』だから、委員会には参加。


ボーッと話を聞いていたら終わっちゃった。



「じゃあ、あたし帰るね。
ごめんね、一緒に帰れなくて」


「いいよー。
じゃあね、バイバイ」


あたしだって一人でノート位教室に置くことは出来るんだ。


物音一つしない廊下にキュッキュッとあたしの上履きの音が響いている。


階段を登ったら、すぐに見えるのがあたしの教室。



……… あれ?


電気がついている。
誰かいるのかな?