これで完璧な作り笑顔。


優ちゃんとリカちゃんのやり取りがおもしろく無い訳じゃない。


ただ、今は何を聞いても…… 見ても、全然笑えない。
おもしろさなんか…… 伝わってこない。


あたしの感情は、あの日。


聴力が下がったと分かったあの日に…… 忘れてきたみたい。



「まおはどっちがおもしろかった?」


「まおちゃんは2番目の方がおもしろかったよね!」


そんな…… 一斉に二人であたしを見ないでよ。


昨日のお笑いがどっちがおもしろかったかでしょ?


「……… どっちも、微妙だよ」


これが、あたしの感想だ。


「「はぁー」」


ちょっと、ちょっと。
どうして二人して溜め息つくの!


だって、しょうがないじゃん。
どっちも『微妙』だったんだから。



「ダメね、まおは」


「絶対、2番目の方が良かったのに」


「ちょっと、リカ!
何言っているの、1番目だから」


こうやって、優ちゃんとリカちゃんの話を耳を傾けているだけで楽しいのに…… 楽しいはずなのに。


どうして、お腹から笑えないのかな?