これからはいっくんの裾をちゃんと握って付いていこう。
隣に立ついっくんの裾をギュッと握った。


あたしはチケットも持っていないんだからいっくんがいなきゃ入れない。



「つーか、何人の裾を握ってんの?」


「迷子防止」


こうすれば絶対に迷子にならないはず。
女の子は方向オンチだからしょうがないんだよ。


「まあ、握ってもいいけど……
普通、服を握るか?」


「服じゃ無かったらどこ握るの?」


「………」


あれ? 急に黙っちゃったよ。
おーーい、いっくーーん。


「服じゃなくて、手とか握らないの?」


「手?」


手ねえー。
それは無いよ、絶対。


あたしたちの関係は友達…… もしくはそれ以上。


友達以上、恋人未満。
幼なじみって関係だ。


「いっくんの手はいつか出来る彼女のモノだから握らない」