音のない世界 ~もう戻らないこの瞬間~





1度校舎を出て、靴を履き替えて体育館へ向かった。


「北校ーーー!」


「入れろー」


「走れーーー」


ス、スゴすぎる。 体育館に近づくにつれて聞こえる歓声が半端ない。


「まおちゃんっ」


「あれ? 早かったね」


「うん、1本早いバスに乗れたから」


時間より20分も早いというのに、理央ちゃんが来ていて驚いた。


「こっちだからおいで」


「うん」


体育館には沢山の応援者がいる。 体育館に収まりきらなくて溢れている。


今日の練習試合は男バスのみらしく…… 2組に別れて練習試合が行われている。


いっくんは入り口側で2年生と混じって試合中。 もちろんその中に陽太くんもいる。


「樹くんのチーム勝っているよ!」


興奮気味に理央ちゃんが言う。


「ホントだ」


【16対22】


いっくんのチームが一方リード。 残りあと7分ちょい。


このまま逃げ切れるかな?