映画のすぐ隣にあるゲーセンにも、やっぱり家族連れや子供たちが多い。


みんな時間の潰し方は一緒なんだね。



「久しぶりだな、ゲーセン来るの」


「あたしもだ」


ウィーンと開く自動ドアをいっくんの隣に並んで一緒にくぐる。


そこに一歩、踏み入れれば……


ここは、別世界。



ヤダ、こんなとこ早く出たい。


「     」


えっ…… いっくんどこに行くの?


置いていかないでよ。
一人にしないで。


ゲーセンに入った途端に何か言葉を言ったみたいだけど……
何を言ったか聞き取れない。


あたしはただ、その背中を追いかけるだけ。



こんな場所で頼れるのはいっくんだけ。
いっくんがいなくなったら…… あたしどうしよう。


お願いだからあたしを一人にしないで。


「     」


ねえ、さっきから楽しそうに笑っているけど……
何があるの?


いっくんの声が全然聞こえない。