それにあたしのワガママだって付き合ってくれるもん。


こんな人、滅多にいないよ。



「“大スキ”って優しいところが?」


「そうだよ」


「まお……」


「なぁに?」


振り返ったと思ったらジーッと人の顔見つめて。


今日で二度目だよ?
あたしの顔ってそんなに変かな?



「マジかよー」


急に今度はどうしたの。


正面を向いて、ハンドルの間に顔を埋めてしまった。


いっくん?
なんだかおかしいよ。


もーよく分からないよ。


「いっくーん」


「俺の勘違いかよ」


何が勘違いだったの?


一人でさっきからウーウー唸っている。


樹くん?
何があったんだい。



「あーもー、出発すっからちゃんと捕まれよ。
このバカが」


なっ!!
バカって何よ。


あたし、バカな事なんか言っていないじゃん。


いっくんが一人でおかしいんだからね。