知らなかった……


そりゃ1年の頃から割りと仲が良くてちょくちょく話していて『彼氏?』って聞かれたこともあった。


でもそんな事があたしにとって苦痛に感じる事は無かったのに……



「あんたは前田くんに守られているの。

しっかし、リカにこの話を聞かれていたとはなー」


「たまたま優と前田くんと桐谷くんで話しているのが聞こえただけ。
でも、大丈夫。
誰にも話していないから」



あたし……
ずっといっくんに守られていたの?


今朝の改札口での出来事。
バスが絶対待っているっていう確証。


それって全部。
裏でいっくんがやっていたことだったの?



「前田くんに言われたよ。
たぶん朝はバスに乗っていくから、もしまおが間に合っていなかったら少しバスを止めておいてくれって」



今、しっかり確信に変わった。


いっくんは知らない間にあたしが過ごしやすいようにって環境を整えてくれていたんだ。


――― ありがとう、いっくん。