音のない世界 ~もう戻らないこの瞬間~

「そう言えばさぁー。
どうしてあたしが今日から登校するって3人は知っていたの?」


バスに乗り、二人掛けのシートに座った。
あたしは優ちゃんと座って、あたしたちの前にいっくんと陽太くん。


「ねぇ、何で知っていたの?」


「何でって……
あたしは前田くんから聞いたんだよ」


「いっくん?」



あたし、いっくんには言ってないよね……
親切心でまあ、退院の日にちは教えたけど。


なんだか優ちゃんと陽太くんにだけ教えるのが悪いって思ったからいっくんには教えただけ。


返信なんか『わかった』しか無かったんだけどね。



「ねえ、どうしていっくんは今日から登校するって知っていたの?」


「おばさんが土日のどっちかにバイト先に買い物来て教えてくれたから」


おっ! そういうことか。
それだったら納得する。


あーあ、せっかく3人をびっくりさせようと思ったのに…… 失敗。