自分でも分かるくらいベタベタしている。


ちょっと髪に触れただけなのに、手はキラキラ光る。


水で洗ってもそう簡単に落ちず、毎回セッケンで手を洗わなくてはいけないほどのベタつき。



「別に気にならないから向こう向いて」


「えー、汚いよ?」


「いいから、ごちゃごちゃ言わないで向きなさい」


「はーい……」


手が汚くなるからいいって断ったのに……
汚くなっても知らないよ?


一応、持ってきたクシを使ってママが優しく髪をとかしてくれる。


一体……いつ以来かな?


小学生の頃は毎日髪を縛ってもらっていたのに、今となっては一人で縛っちゃう。


なんだかちょっと、懐かしい。



「伸びたね、髪」


「そうだね。
こんなに、長い髪を縛るのって久し振りだからちゃんと縛れる?
腕が鈍っていたりして」