「いっくん、電車いいの?
駅に着いちゃうかもよ」


「そうだな。

邪魔して悪かったな、寝るんだろ?
つーか、寝るなら布団くらい掛けろ」


少し寝るくらいなら布団なんて要らないように思うけど……いっくんの中では許せないみたい。


せっかく起こした体をもベットに背中をピッタリくっ付けた。
そして足元に転がっている布団を優しく掛けてくれた。


「電車間に合わなくなるよ」


これを逃すと1時間後になってしまう。
いくら乗り換えが無いからといっても遅くなれば危ない。


「走れば間に合うだろ」


「いっくんはあたしより足が長いからね」


「そうだな、まおより長いな」



ムッキーーー!
そこは少し位否定しなさいよ。


「ほら、夕飯まで時間あるんだろ?
体調だって良くないんだし、今日は疲れただろ。
少し寝ろ」


その『命令的な言い方』に『否定しない』のも勘に障るけど、今はどうでもいい。


夢の世界へどんどん引き込まれている。



「おやすみ、まお」


いっくんのその言葉を最後に意識を手放した。