音のない世界 ~もう戻らないこの瞬間~

こうやって、キャラクターが載っていると嬉しくなる。


どうせ食べるなら可愛い方が嬉しいもん。



「さすが前田くん。
まおの好みが一番分かっている」


これっていっくんが選んでくれたんだ。


なんだか意外かも。


いっくんなら適当に『お菓子』とか買いそうだもん。


……… お菓子?


不意に、ママの昨日の言葉を思い出した。


『“誰か”がいつ来てもいいようにクッキー入れとくからね』


確か……右側の戸棚にはクッキーがあるはずだ。


「クッキー食べる?
昨日、ママが持ってきてくれたの」


「クッキー!
食べる、食べる」


だよね。
さすが優ちゃん。


女の子は甘いものに目がない。



「じゃーん、二袋もあるの」


まさか本当にママが用意したクッキーが役に立つとは思わなかった。


絶対、役立たずで終わるって思っていたもん。