どうだっ、まいったか。


「あぁ、そう言うことか。
だったら腕を振り回すのもヤメロよ」


ん?どうして、腕を振り回す事がいけないの。
振り回す位じゃ全然、痛くもないから大丈夫だよ?


意味が分からず、右側に立ついっくんを見上げると、目があった。


「その顔は俺の言っている意味が分かってねぇな」


「うん、わからない」


カチャッとエレベーターの下ボタンをいっくんが押した。


「腕を振り回したら針がずれるかもしれないだろ?」


針がずれる……?
そんな事ってあるの。


針ってどこかにぶつけない限りずれないって思っていた。


――― チーン。
エレベーターが着いた。


「ほら、先乗れ」


ドアに手を添えてあたしを先に乗せてくれた。


そこまでしなくてもいいと思うけど……まあ、いっか。


エレベーターの中にはあたしといっくんの二人だけ。



「さっき、まおが腕を振り回すの見てマジで焦った。
針がずれたら大変だしな」