そんなあたしの願いも虚しく終わった。


「じゃあ、あたしは桐谷とジュース買ってくるから大人しく待っていなさい。

前田くん、まおが悪いことしないように見張っていてね」


ヤダよー。
優ちゃんがあたしと残ろうよ。


いっくんと残ってあたしが何を話せばいいの?
いっくんはあたしと目を合わせてもくれないのに。



「じゃあ、前田くんあとよろしく。
桐谷、行こっ」



あぁ……


ピシャリと音を立ててスライドドアが閉まった。
優ちゃんと陽太くんが部屋から出ていってしまった。


あたしといっくんの二人っきり。


優ちゃんも陽太くんもヒドイよ。
あたしといっくんも間に何かがあった事を知っているのに、わざわざ二人っきりにするなんて……



「座ったら?」


ずっと立っているのも疲れるよね。


あたしは左側にあるイスをいっくんに勧めた。


「どーも」


やっぱりあたしと目を合わさない。


そんなにあたしが嫌いならどうして来たの?


わざわざ来なくてもよかったのに。