ちょっと、みなさん。


家族しかお見舞いに来ないのに、お菓子なんている?


3人とも。
よーく、よーーく考えて。



「何がいいかな?」


「クッキーとかがいいんじゃないか?」


「あたしもクッキーがいい!」



……… ダメだこりゃ。


あたしを無視して3人でどんどん話を進めていっている。


3人とも……
楽しそうに、ニコニコしながら話しちゃって。


入院しているのはあたしなのに……


「じゃあ、まお。
明日ママがクッキーを買ってくるからね」


「はいはい」



どうやら『誰か』がいつ来ても良いようにお菓子を買うことは決定事項みたいだ。


そして、そのお菓子は『クッキー』と言うのもあたしの意見無しで決まった。


その『誰か』の為のクッキーが役に立つ事は無いと思うのに……



――― 次の日。


ママとパパが午後、お見舞いに来て着替えとは反対側の戸棚に『クッキー』を入れていったのは……


言うまでもない。