音のない世界 ~もう戻らないこの瞬間~

「ちゃんと部活してきたって。
あたしが来たからって驚かないでよ」


いやいや、驚くから。


だって、5時といったらまだ部活の時間だよ。
今は6時まで部活の時間だったような覚えがあるもん。


「まお、勉強道具も持ってきからしっかり勉強しろよ」


バサッと勢いよくスクールバックと手提げバックがパパの手から離れ、ベットの上に着地。


肩に掛けていても、相当重かったのか肩をぐるぐる回している。


「何、こんなに入っているんだ?」


「勉強道具とかだよ」



パパが持ってきてくれたのはあたしの勉強道具。


スクールバックには問題集や教科書が7科目分くらい入っている気がする。


手提げバックには少し教科書が入っていて、シャーペンとかもある。


そして、あたしに欠かせないモノもある。


「あった、あった~」


「はぁ!?そんなもの入っていたのか」


「“そんなもの”って言わないでよ」



パパにしてみたら『そんなもの』かも知れないけど……


あたしにしたらとっても大切なの。