音のない世界 ~もう戻らないこの瞬間~

「………ん、今何時?」


天井を見ていたら、あまりにベットが気持ちよすぎて夢の世界へと旅立ってしまっていた。



「………5時すぎか」


お昼を食べ終わったのが1時位だったから……


うわっ!
4時間も寝たの?


寝過ぎだよ……
夜、眠れなくなったらどうしよう。




――― コンコンッ。


ドアを叩く音。
この部屋を叩く人は決まっている。


「どうぞ」


「まおー、着替えとか持ってきたよ」


「ありがとう」


やっぱりだ。


ママたちは午後にもう一度あたしの所に来てくれるって言ってくれていたもの。


ん……どうしているんだ。
パパとママの後ろをちょこちょこ歩いてくる……


「理央ちゃんっ!」


今って、5時だよ?


今日、部活は?
テスト前だったけ?


どうして中学生の理央ちゃんがあたしの病室に?