廊下側なせいかオレンジの夕日が当たらなくて、冷たい机。


…… まるで、あたしといっくんのような関係を表している机みたい。



そして、机の右端には落書きがあった。


落書きって言っても、明日の時間割みたい。


明日の6時間目はLHRだもんね。


「また、学校に戻ってこれるようになったらあたしと仲良くしてね」


いっくんがイスに座っているわけじゃないのに、あたしはいっくんの机とイスに話しかけてしまった。


…… ん?

右よし、左よし。
後ろ、前……


首を回して左右前後の確認。


よかった。
今は放課後で部活の時間だから、教室には誰もいない。


見られていない。


こんな大きな独り言を言っている所を誰かに見られたり、聞かれたりしたら……


恥ずかしいよ。




「よーし、帰ってパジャマ出そうっと」


いつまでも教室に残っているわけにもいかない。


車にはママが待っていてくれているんだから。


もう後ろを振り返らない。


『入院』する事を後悔しない。


あたしは、重い荷物を抱えて教室を後にした。