全てを配り終えて席に着くと、4時間目の開始チャイムが鳴った。


先生の声が響く教室。
暖かい空気が眠気を誘うなか……


――― トントンッ。


授業が始まってすぐ後から肩を叩かれた。


あたしの後ろ席は……


「どうしたの?
“陽太くん”」


『木下』と『桐谷』だからあたしたちは前後関係。

でも……
陽太くんが授業中にあたしに話しかけてくれるなんて、珍しい。



「はい、これ」


「??ありがと……」


何だ、このノートの端を破った紙切れは……


先生の目を盗んでこっそり机の下で開いてみた。



「――― っっ……」


陽太くんが気付いていないはずがないとは思っていた。


だけど……こんな早くに聞いてくるだなんて思ってもいなかった。




『樹と何かあった?』


さっきのやり取りを近くで見ていて、疑問に思わない方がおかしいんだ……


『ちょっと、いっくんとケンカしただけ。
ゴメンね、へんなとこ見せて』