救世主だ……


優ちゃんは今のやり取りを全く知らないからいつも通りに話しかけてきた。


グッと辛い気持を抑え込んで、あたしは優ちゃんに笑顔を向けた。



「もう少しで終わるよ」


「じゃあ手伝うから貸して」


「ううん、大丈夫。
あと数枚しかないからあたし一人で大丈夫」


「そう?じゃあよろしく」


そう言って、自分の席に戻る優ちゃんを見届けた。


「残りのプリント配ってくるね。
ゴメンね、二人の邪魔して……」


「あと少し頑張ってね」


「ありがとう、陽太くん」



――― 陽太くんは確実に何か感づいている。


それでも、普通に接してくれた。


あたし……
ちゃんと笑えていた?
泣きそうになっていなかった?


いっくんがあたしにあんな態度を取るようになった原因はあたしにある。


あたしが隠し事なんてしているから悪い。


そうわかっているのに……


どうしてこんなにも、胸が苦しいの?痛いの?


全てあたしが悪いのに……