「陽太くん、追いかけてあげて……早く」


「あー、わかった」



ちょっと、納得していない陽太くんを無理矢理いっくんを追いかけさせた。


陽太くんがあたしと優ちゃんの3人でいたって楽しくないよね。


いっくんと居た方がいいはず。


あたしと優ちゃんも陽太くんの小さくなる背中をゆっくり追いかけるように歩き出した。


「でも珍しいよねー。
前田くんがまおに言い忘れるなんて。
まおと違って前田くんは“しっかりしている”のに」


「いっくんだって言い忘れる事くらいあるよ。

っていうか……
あたしだってしっかりしているよっ!」


そりゃ、たまにだけど……
たまーに、忘れたりする事もあるけど……


「頻繁には忘れていないでしょ?」


「どうかなー?」


「優ちゃんっっ!」



もー。
優ちゃんは朝からあたしをからかうんだらっ。


あたしはたまにしか忘れないんだからねっ。