本当はこんな事――― 言いたくなかった。
正直に話した方がいいのかもしれないけど……。
「いっくんには“関係の無い”ことだから……」
どうしても隠してしまう。
「関係無いって…… どういう事だよっ」
いっくんの声が少し震えているようにも聞こえてくるのは、気のせいだろうか?
表情を崩さないように―――。
感情をぶつけないようにしているように見える。
「そのままの意味。 だからあたしに関わらないでっ」
ゴメンね、いっくん。
いっくんに話したら、いっくんはあたしに優しくするでしょ?
あたし、優しくされたら絶対いっくんを頼っちゃう。
一人で頑張れないような気がするの。
「それ、マジで言っているのか?」
「…… そうだよ、マジなんだから」
お願い、いっくん。
――― 気付かないで。
もう終わりにしようよ。
いつまでも、こんな会話をいっくんとしていたくない―――。
そして…… どうか、あたしの事は心配しないで。
「ったく……わかったよ。 もう、まおなんか心配してやらないからな。
それでもいいんだな」
「いいよ、別に。 心配してなんて頼んだ覚えないから」
いっくんのさり気無いあの優しさに触れることが出来ないのは寂しい。
“寂しい”なんて思うこと、わがままだってわかるけど、これは自分で選んだ事だから……。