もうこの話は終わりにしようよ。

いくらあたしだって、話せない事の一つくらいはあるんだよ?

いっくんにだって、そういうことの一つや二つはあるでしょ?


しかし、いっくんはあたしの言葉には納得してくれない。

そして、あたしは――― いっくんの怒りの引き金を気づかぬ内に引いてしまった。


「いい加減にしろよっ!

お前の様子が最近おかしいから最初は風邪かと思ったよっ?

でも…… 学校に毎日来ているから風邪かと思って学校で愛川、買い物に来ていたおばさんに聞いてみたら“まおに直接聞いてみて”って…… 明らかに何かを隠している証拠だろ?

まおに聞いてみたら“風邪”って下手な嘘は言うし…… 隠していることがバレバレなんだよっ」


ここで一旦、いっくんが言葉を切った。

そして、いっくんが再び続ける。


「なぁ、まお。

そんなに言えないことなのか?」


そうだよ、言えないんだよ。

いっくんだから、言えないんだよ―――。


「だから、隠してなんて…… 「いるんだよっ!」


あたしの言葉を途中で遮ってまで、いっくんが続けた。


「お前は俺に嘘をついているんだっ。

新しいクラスのやつらは気付いなくても、俺や陽太はお前と1年の頃から近くにいたからすぐに気付く」


あたしだって…… いっくんと陽太くんの事なら直ぐに分かるよ。

どんな些細なことだって、1番に気がつく自信がある。


でも、これだけは言えないことなの。


「…… いっくんには関係ないよ」


小さくボソッと呟いた。

あたしは、いっくんに爆弾を落とした。