「まおっ」


「いっくん!」



電車を降りて、自転車置き場に向かっていたら後ろからいっくんに声をかけられた。


普段いっくんからあたしに話しかける事がほとんどないから…… 珍しい。

もしかして――― 明日は、雨?


「いっくん、どうしたの? あたしに用事?」


「そうだよっ!!」


なんだかいっくんの口調が強くて怖い。


いつもはめんどくさそうに話すのにどうしたの?


「まお…… お前、何か隠しているだろ?」


秘め事があるだけに体が少し強ばる。


「…… な、なんで?」


正直、いっくんが急に“隠しているだろ―――” なんて言いに来るだなんて思っていなかったから驚いた。


危うく顔を崩してしまいそうだったけど…… なんとか崩れないようにキュッと顔を引き締める。



「お前、最近変だぞ。 ずっとボーッとしたりしている。

…… 何かあったのか?」