のんびり一人で買い物をするのも久し振りでついつい買いすぎてしまった。

そして、今は理央ちゃんとケーキ屋さんに向かっている。


「うわっ!」


「まおちゃん?」


でも、さっきから似たような事を何度も繰り返してしまう。


平日の夜のショッピングセンターだけど…… 店内には沢山の家族連れがいる。


春休みだからしょうがないけど……。

後から小さい子が走ってきたり、右側から人が出てくると当たりそうになる。


“難聴”って診断される前は気付かなかったけど“こんな危険な生活を送っていたんだ……”と今となって思い知らされる。


「まおちゃん――― ハイ」


「ん?」


薬を止めていたと言ってもたった3日。

体の怠さは抜けきらない。

体が重くて、サクサク歩く気になれない。


「手、繋いであげる。 そうすれば大丈夫でしょ?」


「…… ありがとう」


昔は隣を一緒に歩いていたのに…… 今はあたしより数歩前を歩いている理央ちゃんのその手を掴んだ。