「…あれ、良太は?」
「さっきまでここにいたのに…?」
「絵里、咲希、遅れてごめんー」
少し遅れて来たあやに絵里はニヤニヤ笑いながら近づいて行く。
「あっ、あや!咲希ってば結構やるんだよー」
「何が?」
「さっき初対面の男子にアド聞かれてさー」
「嘘ーっ?!」
「ちょ、絵里!!」
絵里から話を聞いたあやは
絵里と同様にニヤニヤした顔つきであたしを見続けた
「相手は?」
「堀内修平って子、2組にいる?」
「ううん、3組に同じ名前の子がいるけど…」
「3組?じゃあ3組の委員長に聞いてみよっか!!」
「ちょっと絵里、アド聞かれたぐらいでそこまでしなくても…」
絵里はあたしの言葉なんて無視して委員会に集まった委員長に堀内君のことを聞き続けた
あたしはこの時、この場でアド交換をしたことを今更ながら少し後悔し始めていた…。
「良太の言う通りの子だったな」
携帯を閉じて
すたすたと階段を下り、後ろにいる良太に笑いかける修平
良太はまだ状況に追い付けないみたいで困惑した表情を浮かべてた。
「…修平、咲希のこと…」
「良太がいつも咲希の話するから、どんな子か興味沸いたんだ」
再び笑いかける修平に
良太は答えることが出来なかった
「本当に…良太の言う通りの子だったな」
「熱い……」
あたしはまだ熱い頬に触れながら
何かが『変わる』、
そんな予感がしていた。